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子どもたちを苦しめる2つの「コミュニケーション能力」

子どもたちを苦しめる2つの「コミュニケーション能力」


 

就職活動をしたことがある人なら一度はこのセリフを耳にしたことがあると思います。

「企業はコミュニケーション能力は高い人材を求めている」

どんな分野で働くとしてもついて回るこの問題。

 

では一体コミュニケーション能力が高い人材とはどんな人のことなんでしょう?

コミュニケーション能力が高い人材って?


私たちが「コミュニケーション能力が高い」という時、たいていは、「自分の意見をはっきりと相手に伝えられる」とか、そんなことを考えます。それができる人は確かに「コミュニケーション能力が高い」ことは間違いありません。でもそれだけじゃないんです。

飲み物を勧められたらどう答えるか?


営業先や上司の家を訪問した時に、

「お飲み物はいかがですか?」

と聞かれたら、どう答えますか?

  1. 「私はコーヒーが欲しいです。」
  2. 「いえ、どうぞお構いなく。」

おそらくこのシチュエーションで求められている正解は2です。

間違いなく1は「空気読めない人」であり、2が「コミュニケーション能力が高い人」となるのでしょう。

1は自分の意見をしっかりと伝えたにも関わらず。

コミュニケーション能力の二つの基準


平田オリザ氏は、著書『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か』の中で、「社会全体が『異文化理解能力』と『日本型の同調圧力』のダブルバインドに苦しんでいる」と述べています。

 

つまり、

  1. 自分の意見をはっきりと相手に伝える、グローバル型コミュニケーション能力
  2. 相手を思いやり和を大切にする、日本型コミュニケーション能力

二つのコミュニケーション能力の基準が日本の社会には存在し、私たちは、毎日毎日、場面や人間関係によって、それらを使い分けることをいつも要求されているのです。

 

ということは、「コミュニケーション能力の高い人材」とは、言い換えれば、

「1.がっつり議論もできて、プレゼンもうまい、2.だけどちゃんと思いやりのある言葉がけができて、遠慮したり、謙遜できたりする人」

ということになるでしょうか。

 

2つも基準を満たさなければならないなんて、ハードル高すぎ…。

こどものコミュニケーション能力


では、子どもたちはどうでしょう。

子どもは本来生まれつき「主体性重視」の1のコミュニケーションを基本としています。

 

自分の欲求に素直で、「おやつ食べたい」「家に帰りたい」「まずい」思ったことを素直に口にします。どんな場面でも、誰に対しても。

 

ある日、レジで並んでいる時に、「あのおばさん、太ってるね」と息子が大きな声で言ったときはゾッとしましたが、(笑)みなさんも経験あると思います。そのたびに私たち大人は、「そういうことは言わないの」と教え、だんだんと「思いやり重視」の2のコミュニケーション能力を伸ばしていくのです。

我が子のコミュニケーション能力を考える


大切なのはバランスです。どちらもバランスよく伸ばすことが理想です。

 

最近の学校教育では、1.のコミュニケーション能力を伸ばすようなカリキュラムが組まれています。家庭でも「あなたはどうしたいの?」「あなたはどう思うの?」の質問を心がけて、自分の意見をきちっと伝えられるようサポートすることが望ましいでしょう。

2.のコミュニケーション能力は、相手の立場になって考えたり、集団での活動の機会を増やすことで、伸びていきます。

 

一方で、注意したいのは、子どものコミュニケーションが、2.の「思いやり重視型」に傾きすぎることです。

小学生ぐらいになると、絶対にクラスで手を上げない子、意見を聞いても「どっちでもいい」という子が出てきます。自分一人だけ違うことを言って、変な目で見られたくないとか、浮きたくないとかいう心理が強く働くようになるのも要因の一つでしょう。

 

 

これを放っておくと、どんどん子ども自身の主体性がなくなってきます。自分がどう思うか、考えることすら面倒になり、常に周りに合わせることに意識が集中していきます。

 

この場合、家庭では、自分はどうしたいのか、どう思うのか、ということを、親が意識的に聴きだしてやることが大切です。

家庭という、子どもにとって集団から離れ、リラックスできる環境だからこそ意味があるのです。

 

お子さんのコミュニケーション能力を考えると同時に、ぜひ親のコミュニケーション能力のバランスについても振り返ってみてください。

1.2.のバランスを意識することで、家庭でのコミュニケーションも変わってくると思いますよ。

 

 


英語だけじゃない。コミュニケーションの基礎も伸ばす。いもと英会話スクールのこどもクラス